ジビエ GIBIER

許される期間に狩猟で狩った獲物、野禽獣の総称。英語ではGAME、日本ではそれを司る人たちをマタギという。
フランス宮廷料理のサーヴィス人に男性が多いことには理由がある。その昔、男性は刀のように大きな剣を持って戦い、狩りをし、狩った肉は切りさばいた。家庭でもパンやクリスマスの七面鳥を取り分けるのは男性の役目とされ、これが現代にも繋がっているのだろう。
男性が多いということは女性のサーヴィス人が少ないことを意味するが、しかし私はこれから近未来、増えていくと期待している。女性にしかできない細やかな気遣い、しなやかな立ち居振る舞いは、レストランを創る上でも大きく影響する。重たいものは力持ちの男性が持ってあげれば良いのだ。
ジビエに戻ろう。フランス料理でジビエとは、イノシシ、青首のカモ、マガモ、シカ、森鳩、ヤマシギ、ヤマウズラ、野兎、ライチョウ、野鹿など豊富に存在するが、野性味あるそれらの獣の料理法は、いたってシンプルに焼く、煮込む、パイで包むなどだ。また、血はソースにしたり、ヤマシギなどは脳みそまで食すなど、食べられる部位は無駄にしない。そんなジビエ料理には旬の黒トリュフが華を添える。

タテルヨシノでもジビエ料理を供するが、2014年は銀座店の「月の輪熊」が特におすすめで絶品である。甘いものを好んで食べるといわれる熊は赤ワインとはちみつでよく煮込む。クセがなく脂をたっぷりと含んだ熊肉は冬の冷えた身体を温めてくれるであろう。さらに赤ワインと合わせれば、体にも心にも温もりが宿るであろう。